ミニマリストねこの暮らし

1匹と2人で暮らすミニマリスト

家族の呪縛から卒業する。不在(彩瀬まる・著)を読んで。

 

こんにちは。ミニマリストねこです。

 

家族って、愛って、何でしょう?家族ってそんなに良いものでしょうか?

 

私が考えても考えてもわからないものの1つです。

 

私はごく一般的な家庭に育ったと思うのですが、母とは価値観が合わず疎遠になっている状態。

 

36歳になった今でも母との関係に悩み、家族というものの呪縛から逃れられないでいます。(もう子供ではないのに。まだ引きずっているなんて。)

 

 

先日読んだ「不在(彩瀬まる・著)」も私と同じように、家族という亡霊に取りつかれた女性の物語です。

 

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主人公は父親が亡くなったことで、幼い頃に両親が離婚して以来足を踏み入れていなかった祖父母の家を相続します。

 

遺品整理に通いながら、幼い頃の怖かった祖父のこと、仲が良かった記憶を封印した父のこと、価値観が合わない母親のこと。少しずつ家族の記憶や自分自身と向き合っていくというストーリーです。

 

 

愛って何だろう?

 

私はこの小説のテーマは「家族」と「愛」だと読んでいて感じました。

 

主人公にとって家族は安心できる居場所ではなかった。家族というものを乗り越えられていない主人公の愛はどこか歪で、恋人ともうまくいかなくなっていきます。母親とも最後まで考え方はすれ違ったままです。

 

主人公は自分と似ていると感じている父親が、離婚の際自分より兄を選んだこと、愛されていなかったことに傷ついています。

自分が欲しかったように愛されず、愛することも一方的で相手がいるようで相手を見ていない愛し方しかできない主人公。

 

 

「愛」について叔父と話すシーンで叔父が、

「愛という言葉が使われるときはそうでないものをそう見せようとするときで、つまりは相手に干渉したいってことの表れ。自分には白くて大きなナメクジをイメージさせる。」というようなことを語るんです。

 

これが何だか私にはとてもしっくりきたというか。これを読んで、私の母の愛はまさにこんな感じだったなと思い出しました。

一方で主人公は愛を花にたとえます。

 

愛は花だ。運がなければすぐに枯れるし、腐ってなくなってしまう。だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって、偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。

 

きっと人は1人1人違うから、それが例え親子だったとしても、家族だったとしても、形が違ったりタイミングがすれ違ったりして愛が伝わらないこと、それで自分は愛されてないんだって思い込んでしまうことってあるよなと思います。

 

でも思い返してみれば、私にも花が咲いていた頃があった。そう思うと、ちょっと温かい気持ちになりました。

私から見ると、主人公に家を相続させたこと。それが父親なりの愛だったんじゃないかなと思います。

 

 

家族の呪縛を解く

 

そうやって父親の人生や自分の生い立ち、愛について考えた主人公は、最終的に自分が思ったように父親に愛されていなかったとしてもいいという境地に至ります。

母親にも自分の生き方を理解してはもらえない。それでも家族を続けていく。

 

愛されなくてもいい、理解してもらえなくてもいい。そんな世界はこれまでになく明るくて自由だと。

私は私の生き方で生きると決めたとき、主人公は家族の呪縛から卒業する1歩を踏み出したように、感じました。

 

自分の人生を歩み始めた主人公が、母親(紀美子さん)のことが好きではないという少女に言うセリフが刺さりました。(少女とその母親は主人公の父親と暮らしていた時期がある。)ちょっと長いですが引用します。

 

紀美子さんとあなたは違う人だよ。紀美子さんは紀美子さんで、自分に合う生き方を選んだんだ。だからあなたも、自分に合う生き方を選べばいい。

 

無理に愛さなくていいし、愛されなくていいんだ。自分とは違うってそれだけを思って、憎む前に遠ざかろう。そう、私は思う。

 

あのね、それで・・・大丈夫だから。どれだけ1人になったって、周りにあなたを理解してくれる人がいなくたって、必ずこの世にはあなたと近い気持ちを持ったクリエイターがいて、漫画とか、音楽とか、演劇とか、小説とか作ってるの。だから、何を拒んでも大丈夫。絶対1人にはならないよ。

 

泣きました。今まで私を救ってくれたたくさんの小説や映画・ドラマ・音楽を思い出しました。そしてこの言葉にも救われた。

こういう言葉や本に出合うと、生きてて良かったって本当に思います。

 

 

私だけが見られる景色

 

普通じゃないって思う人生は、困ったり、寂しかったり、大変だけど、それ以外の人生ではわからないことがたくさんわかるよ。わかったものは、あなただけのものだよ。辛いことを生き延びた先で、すごくきれいな景色をみられるよ。

 

私の人生は客観的に見たら普通。でもそれはみんな同じで、私は私なりにつらいこと悩んだことはたくさんあって、そういう意味では普通の人生なんてないんじゃないかなと思います。

 

きっと私のこの人生を生きなければわからなかったことがたくさんある。この人生を生きてきたから、感動できる小説や心揺さぶられる言葉がある。それは私の人生の宝物です。

 

 

彩瀬まるさんは、生きづらさを抱えた女性の心の動きを丁寧にすくい上げてくれるところが好きです。

 


あのひとは蜘蛛を潰せない(新潮文庫)

 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

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