こんにちは。ミニマリストのねこです。
物欲ってどこからくるのか。
どうして物を買い過ぎてしまうのか。
ずっと疑問に思っています。最近読んだこの本がとても興味深かったです。
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)。人間の欲望との結びつきという視点から資本主義の歴史を考察したような内容でした。
この本には人間の欲望がどこからくるのかについても書かれていて、本によると欲望は「距離」があるから生まれるということです。
人があるものを欲しがるのは、それが簡単には手にはいらないからだというのである。つまり、人とモノとの間に「距離」があるからだというのである。(P87)
つまり、「持っていないから欲しい」ってことですね。簡単に得られないものほど(高いもの、非日常のもの、珍しいものほど)欲しくなるそうです。
確かにそう考えると、新商品・限定品といわれると欲しくなったり、欲しいと思って買ったのに開けないまま部屋に放置されてしまったり・・・ということの説明がつく気がします。
持っていないことが欲しい!という気持ちの理由なのだとすると、あらゆるものが欲しくなって当然ですよね。物欲が止まらなくて買い過ぎてしまうのも、納得な気がしました。
読んでいてはっとしたのが、人は物自体が欲しいのではなくて、物から「イメージ」されるものが欲しくて物を買うのだと書かれていたこと。
モノはそのモノ自体をこえ、さらに個人をこえた何かを暗示したりシンボライズするからこそ、欲望の対象となるのである。人間は常に意味を求め、観念を生み出す動物である。(P94)
物自体が欲しいというよりも、物からイメージする概念(例えば豊かさや自由・美・文化など)が欲しいということですね。
例えば洋服だったら、布で身体をおおう・保温するという物としての役割よりも、デザインやブランドからイメージされる美や豊かさ(他にも何らかのメッセージ)を欲しているのかもしれません。
確かに物質的な物の機能だけが満たされれば良いなら生活に不便がなければ良いわけで、わざわざデザインやブランドにこだわったり、たくさん欲しいと考えたりはしないだろうなと思います。
人が物に対してイメージを作り出す生き物だというところに、物を買い過ぎてしまう原因があるような気がしました。私たちが物を買うことで手に入れたいと思っているのは、物からイメージされる形に表せない理想や憧れなのかもしれません。
そんな人間の欲望や本能と資本主義は相性が良かったんですね。本にはこう書かれています。
資本主義とは、人々の欲望を拡張し、それに対して物的な(あるいは商品という)かたちをたえずあたえていく運動だといってよかろう。(P74)
資本主義は持っていないから欲しいという人間の欲望を、物で満たすしくみだった。それが豊かさだったり、幸せだったり、憧れだったり・・・目に見えないものであっても、です。
憧れや理想の自分までお金を使って物を買うことで一瞬で手に入れたような気持ちになれるというところに、物を買い過ぎてしまう理由があるんじゃないかなと思いました。
でも実際は物を買って得られるのはイメージだけなんですよね。個性的になりたくて洋服を買ったり、豊かに見せたくてブランド品を買っても、自分が今以上に個性的になるわけでも豊かになるわけでもない。
確かに資本主義は生きていくのに不可欠な物質的な豊かさを与えてくれたけれど、物では満たせないものの存在を見えにくくしてしまったのかもしれません。
私たちはずっとこういう社会に生きていて物を買うのが当たり前になっているので、自分が本当は何が欲しくて物を買っているのかが見えにくくなってしまっているんだと思います。
自分が本当に欲しいものは物じゃないよねと振り返ってみることで、物を買いたいという気持ちはちょっと減るのかもしれませんね。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。